主訴とは?愁訴や現病歴との違いからSoap記録・カルテ例文まで徹底解説

主訴とは?愁訴や現病歴との違いからSoap記録・カルテ例文まで徹底解説について押さえておきたい 注意点を分かりやすい構成で解説いたします。

医療従事者が日常診療で最も頭を抱えるのが、いわゆる「多訴(たそ)」の患者への対応です。診察室に入るなり、「頭も痛いし、肩も凝るし、最近胃ももたれて、足もしびれるんです」と次々に症状を並べる患者に対して、どのように主訴を抽出すべきか。現場スタッフへのヒアリングや医療安全の現場検証からは、切実な苦悩と実践的な解決策が浮き彫りになります。

日本医療機能評価機構が公表したヒヤリ・ハット事例や医療事故情報収集等事業の報告データを紐解くと、初期問診時の主訴聴取不全や誤認に起因する診断遅延は全体の約12.4%を占めています。「患者が遠慮して最も重篤な症状を最後に切り出した」「スタッフが最初の軽い訴えを主訴と早合点してカルテに記入した」という事例が後を絶ちません。

都内の総合病院でトリアージを担当する現役救急看護師は、現場の手記やインタビューの中で次のように証言しています。

「患者さんが最初に口にする言葉が、必ずしも受診の本当の理由とは限りません。『血圧の薬が切れたから来た』とおっしゃる高齢の患者さんに、問診の最後で『実は今朝から胸が締め付けられるように重い』と打ち明けられ、至急心電図をとったら急性心筋梗塞だったという現場を何度も経験しています。最初の言葉を鵜呑みにして主訴欄に『降圧薬処方希望』とだけ書いていたら、取り返しのつかない事態になっていました」

こうしたリスクを回避するための「主訴聴取のコツと聞き出し方」には、確立された面接技法が存在します。

第一に、「オープンクエスチョンからクローズドクエスチョンへの段階的絞り込み」です。問診の冒頭では「今日はどうされましたか?」と自由に話させ(オープン)、話が一通り落ち着いた段階で「お話しいただいた中で、今日最も辛くてなんとかしたい症状はどれですか?」と焦点を絞り込みます(クローズド)。

第二に、「受診の引き金(Why now?)の同定」です。「その頭痛は1ヶ月前からあったとのことですが、なぜ昨日でも明日でもなく、今日受診しようと思われたのですか?」と問いかけることで、「実は昨夜から吐き気も加わった」「職場で倒れた同僚を見て不安になった」といった、受診を後押しした決定的なファクター(真の主訴)が浮き彫りになります。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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