平安美人の条件はなぜ現代と真逆?下膨れと引目鉤鼻に宿る美意識の真相

平安美人の条件はなぜ現代と真逆?下膨れと引目鉤鼻に宿る美意識の真相について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

現代のポートレート写真やSNSの自撮り文化では、フェイスラインを引き締めるシェーディングや輪郭補正が一般的です。しかし、平安時代の貴族社会において称賛されたのは、ふくよかに丸みを帯びた下膨れの輪郭でした。

当時の服飾史や風俗文化を研究するポーラ文化研究所などの知見によると、下膨れの輪郭は「十分な栄養状態にあり、過酷な肉体労働とは無縁であること」を示す絶対的な身分の象徴でした。頬が痩せこけて角ばった輪郭は貧相や病弱、ひいては下層階級の過酷な生活を連想させたため、忌避された歴史があります。さらに、ふっくらとした頬はどこか幼さを残す「童顔」のニュアンスを含み、庇護欲をかき立てる高貴な愛らしさ(うつくしげ)として重宝されました。

一方、細い線のような目と鍵型に小さく曲がった鼻を描く引目鉤鼻(ひきめかぎばな)は、大和絵の絵巻物における極めて洗練された描法です。個人の生々しい表情や顔立ちをそのまま描くことは、貴人の尊厳を損なう無作法とみなされていました。喜怒哀楽を剥き出しにせず、静けさと気品を湛えた「感情を抑えた理想像」を記号化した結果が、あの切れ長の目と慎ましい鼻だったのです。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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