漢文の走ぐの意味はなぜ逃げる?読み方や入試頻出の盲点を徹底解説

漢文の走ぐの意味はなぜ逃げる?読み方や入試頻出の盲点を徹底解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

大学受験や高校の定期試験で頻出する代表的な漢文の例文を通じて、「走ぐ」の実践的な読解手順を身につけましょう。最も有名な出典のひとつが、司馬遷の『史記』項羽本紀です。

例文1:『史記』項羽本紀(鴻門の会)より

【白文】
沛公已去、間行至軍。
(中略)
抜剣撞而破之曰、「沛公不勝桮杓、不能辞。沛公已走、間至軍矣。」

【書き下し文】
沛公(はいこう)已(すで)に去り、間行(かんかう)して軍に至る。
剣を抜きて撞(つ)きて之を破りて曰はく、「沛公 桮杓(はいしゃく)に勝(た)へず、辞すること能(あた)はず。沛公已に走(に)げ、間(ひそ)かに軍に至れり」と。

【現代語訳】
沛公(劉邦)はすでに立ち去り、間道を通って自軍の陣営に戻った。
(張良は)剣を抜いてその玉斗を打ち砕いて言った。「沛公はお酒に耐えきれず、直接お別れの挨拶を申し上げることができませんでした。沛公はすでに逃走し、抜け道を通って自軍の陣営に到着しております」と。

鴻門の会において、命の危険を感じた劉邦が厠(トイレ)に行くふりをして陣営から抜け出すクライマックスの場面です。「沛公已走」を「沛公はすでに走った」と訳しては、暗殺の危機から決死の思いで脱出したという緊迫感が完全に失われてしまいます。ここはまさに「すでに逃げ去った」と解釈しなければ、張良が項羽に対して行った命がけの弁明が成立しません。

例文2:『戦国策』より

【白文】
秦軍大破、趙兵追北三十里、秦将僅以身走免。

【書き下し文】
秦軍大いに破れ、趙兵 北(に)ぐるを追ふこと三十里、秦将 僅(わづ)かに身を以て走(に)げて免(まぬか)る。

【現代語訳】
秦の軍勢は大敗し、趙の兵士は逃げる敵を追撃すること三十里におよんだ。秦の将軍はかろうじて我が身一つで逃走して処刑や戦死を免れた。

この短文の中には「北(に)ぐる」と「走(に)げて」という、逃亡を表す二つの重要語が並んでいます。「追北」の「北」も背を向けて逃げる敗残兵を意味する頻出句法です。このように、軍事衝突や政治的失脚の文脈において「走」が登場した場合、9割以上の確率で「逃げる」の意味になります。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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