『確率思考の戦略論』要約解説!UsjをV字回復させた数学の法則
『確率思考の戦略論』要約解説!UsjをV字回復させた数学の法則に関する主要なデータを丁寧に解説いたします。
本書が他のマーケティング本と決定的に一線を画すのが、統計学・確率論に基づく数式解説のパートです。ここでは、実務に直結する2つの数学的モデルの要点を直感的に解説します。
まず前提となるのが、個々の消費者が一定期間内に商品を購入する回数はポアソン分布に従うという事実です。ポアソン分布とは、「滅多に起きない事象が一定期間に何回発生するか」を表す確率分布であり、個人の購買行動のランダム性を正確にモデル化できます。
しかし、すべての消費者が同じ購買意欲を持っているわけではありません。ヘビーユーザーもいればライトユーザーも存在します。この「個人ごとの購入頻度のバラつき」をガンマ分布で表し、ポアソン分布と組み合わせることで導き出されるのがNBDモデル(負の二項分布モデル)です。
NBDモデルを理解すると、ビジネスにおいて極めて重要な事実が明らかになります。
・上位20%のヘビーユーザーだけに依存する戦略は構造的に破綻する
・年1回買うか買わないかの膨大なライトユーザー(ロングテール)をどれだけ動かせるかが売上規模を決定づける
市場の購買回数は数学的な規則性に従って分散しているため、自社を熱狂的に支持する既存顧客だけを優遇しても、自然減(チャーン)と確率の壁に阻まれて成長は頭打ちになります。より広いパイに向けた認知拡大と配荷(フィジカル・アベイラビリティ)の強化こそが、売上拡大の定石となるのです。