大鏡「弓争い」現代語訳とあらすじ解説!道長が伊周を圧倒した心理戦の真相
大鏡「弓争い」現代語訳とあらすじ解説!道長が伊周を圧倒した心理戦の真相を詳しくリサーチ! 読者が気になる トピックの裏側を分かりやすく展開します。
古文読解において最も重要なのは、原文の言葉遣いと口語訳の対応関係を正確に把握することです。定期テストや受験で狙われやすい名場面を、原文と現代語訳、詳細な文法解説とともに見ていきましょう。
【原文】
南院にて、人々集まりて御弓遊びし給ひしに、この殿(道長)の射給ふとて、帥殿(伊周)の御前にて、「道長が家に、帝・后立ち給ふべきならば、この矢当たれ」と仰せらるるに、同じものを、中心には当たるものかは。
【現代語訳(口語訳)】
南院で人々が集まって弓の競射をなさっていたときに、この殿(道長)がお射ちになる際、帥殿(伊周)の御前で、「道長の家に、将来天皇や皇后がお立ちになるはずであるならば、この矢よ当たれ」とおっしゃると、なんと的のど真ん中に命中したではないか。
【文法・品詞分解のポイント】
・「立ち給ふべきならば」の「べき」:当然または推量の助動詞「べし」の連体形。仮定条件「ば」と接続し、「立つはずであるならば」の意。
・「仰せらるる」:最高敬語(尊敬の補助動詞「仰す」+尊敬の助動詞「らる」)。語り手である大宅世継から道長への強い敬意。
・「当たるものかは」:反語表現。「当たるだろうか、いや見事に当たったのだ」という詠嘆・強調のニュアンスを含みます。
【原文】
次に、帥殿射給ふに、いみじく臆し給ひて、御手もわななくにや、的のあたりにも寄らず、無辺無極の所を射給へるに、関白殿色青くなり給ひぬ。また、この殿射給ふとて、「摂政・関白立ち給ふべきならば、この矢当たれ」と仰せらるるに、初めの同じやうに、的の破るるばかり射当て給ひつ。
【現代語訳(口語訳)】
次に、帥殿(伊周)がお射ちになると、ひどく気後れなさり、御手も震えていたのだろうか、的の近くにも寄らず、とんでもない見当違いの場所をお射ちになったので、関白殿(道隆)は顔色が悪くなられた。また、この殿(道長)がお射ちになる際、「自分が摂政や関白に就任するはずであるならば、この矢よ当たれ」とおっしゃると、最初の矢と同じように、的が割れんばかりに見事に射当てなさった。
【原文】
関白殿、帥殿に、「何か射る。な射そ、な射そ」と制し給ひて、ことさめにけり。
【現代語訳(口語訳)】
関白殿は、帥殿に対して、「どうして射るのか。射るな、射るな」とお制しになって、その場の興ざめとなってしまった。
【文法・品詞分解のポイント】
・「な射そ」:「な〜そ」の呼応による副詞的呼応(禁止表現)。「〜するな」の意味。テストで極めて狙われやすい必須文法です。
・「ことさめにけり」:「ことさむ(興醒む)」+完了「ぬ」+過去「けり」。「座が白けてしまった」という結末を端的に表しています。