十八代目中村勘三郎の軌跡と真実|息子たちへ託した魂と中村屋の現在
話題沸騰中の 十八代目中村勘三郎の軌跡と真実|息子たちへ託した魂と中村屋の現在について、多角的な視点をご紹介しています。
十八代目中村勘三郎が演劇界に遺した最大の足跡は、歌舞伎を「敷居の高い伝統芸能」から「大衆が熱狂するライブエンターテインメント」へと解き放った点にあります。その象徴が「コクーン歌舞伎」と「平成中村座」の創設です。
「型があるから型破り。型が無ければただの形無し」――勘三郎が生前好んで口にしたこの言葉は、彼の芸術哲学を象徴しています。若い頃から基礎基本の古典歌舞伎を徹底的に叩き込まれたからこそ、現代劇の演出家・串田和美氏らとタッグを組み、BGMにエレキギターや管楽器を取り入れた斬新なコクーン歌舞伎を成立させることができました。
さらに2000年、江戸時代の芝居小屋の熱気を現代に蘇らせようと、浅草・隅田公園に仮設劇場を建てた「平成中村座」の立ち上げは、演劇界の常識を覆しました。舞台奥の扉が開き、本物の浅草の夜景や桜並木が背景として現れる劇的な演出は、観客の度肝を抜きました。
この挑戦は国内にとどまらず、ニューヨークのリンカーン・センターやヨーロッパ公演へと波及。本物のパトカーが舞台奥の借景に登場する演出などで現地の演劇評を席巻し、ニューヨーク・タイムズ紙をはじめとする海外メディアから絶賛を浴びました。歌舞伎をグローバルなアートフォームへと押し上げた功績は、現在も高く評価されています。