中島みゆき本人の『宙船』は何が違う?Tokio版との差と提供秘話

中島みゆき本人の『宙船』は何が違う?Tokio版との差と提供秘話の具体的な内容に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

リスナーの間で常に熱い議論を呼ぶのが、「TOKIO版と中島みゆき本人版、いったい何が違うのか?」という音響的・心理的なアプローチの差異である。ネット上ではよく「TOKIO版は背中を押してくれる応援歌だが、中島みゆき版は背後から襟首を掴まれて覚悟を問われる曲」と例えられるが、この体感は両者のサウンドアレンジとボーカル表現の構造を精査すると論理的に説明がつく。

TOKIO版の編曲を手掛けた船山基紀は、ハードロックのドライヴ感とブラスセクションの華やかさを前面に押し出し、長瀬智也のハスキーで直線的な男気あふれるシャウトを主役に据えた。若者が逆風に向かって全力で櫂を漕ぎ出す、力強い推進力がみなぎっている。

対する中島みゆき本人歌唱バージョンは、盟友・瀬尾一三と中村哲の手による編曲。重く深く地を這うベースライン、民俗音楽的・土着的な呪術性を帯びたパーカッション、そして演劇的ともいえる変幻自在のボーカルワークが展開される。唸るような低音から天を突き破るようなファルセットまで、一曲の中で何重もの人格が歌い継ぐようなダイナミズムは、もはやワンマンオペラの迫力である。

比較項目TOKIO版(長瀬智也ボーカル)中島みゆき本人版(セルフカバー)編集部の見解・音楽的分析サウンド・編曲船山基紀による王道ストレート・ハードロック。管楽器とエレキギターの疾走感。瀬尾一三・中村哲による重厚かつ土着的なシンフォニック・ロック。前者は水平方向への直線的推進力、後者は垂直方向(深海から天空へ)の圧倒的スケール。ボーカルの質感長瀬智也の野性味あふれる直線的シャウト、熱情と若さのバイタリティ。ドスの利いた唸り声、突き抜ける高音、怨嗟と慈愛を同居させた変幻自在の声圧。TOKIOは「自ら戦う戦士の咆哮」、中島みゆきは「戦場を見下ろす運命の神・預言者」。受容心理・聴後感「よし、明日からまた頑張ろう」という前向きな闘志とエネルギーの充填。「自分は人生の舵を他人に委ねていないか」という内省と、魂の底からの震え。エンターテインメントの極致と、文学・芸術的カタルシスの対比といえる。初出媒体・発売日2006年8月23日(シングル『宙船/do! do! do!』)2006年11月22日(34thアルバム『ララバイSINGER』収録)先行リリースはTOKIOだが、構想自体は中島みゆき側のアルバム制作と同時進行。
山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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