ポルトガル語とスペイン語の違いは?通じるかの真相と難易度を徹底比較
ポルトガル語とスペイン語の違いは?通じるかの真相と難易度を徹底比較とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
これほど単語や文法が似ているならば、スペイン人とポルトガル人、あるいはアルゼンチン人とブラジル人は、通訳なしで自由に語り合えるのでしょうか。会話が通じるのか真相を現地で検証すると、そこには「ポルトガル語話者はスペイン語をかなり理解できるのに、スペイン語話者はポルトガル語をほとんど聞き取れない」という、驚くべき一方通行のリアルが存在します。
なぜ「文字なら9割近く読めるのに、耳で聞くと一方通行になる」のか。この謎を解く第1の鍵は、音声学的な「母音の包含関係」にあります。スペイン語の母音は「a, e, i, o, u」の5つだけであり、どの位置にあってもはっきりと発音されます。これに対し、ポルトガル語はスペイン語の5母音をすべて内包した上で、さらに口を半開きにする音や鼻に抜ける音、そしてアクセントのない語末の「o」を「ウ」、「e」を「イ」や無声化した曖昧母音(シュワー音)へと弱化させる複雑な体系を持っています。つまり、12種類以上の母音を持つポルトガル語話者の耳にとって、5母音しかないスペイン語は「すべての音がクリアに聞こえるイージーモード」である一方、5母音しか持たないスペイン語話者の脳は、ポルトガル語の微妙な母音変化や音の連結を「未知のノイズ」として処理落ちさせてしまうのです。
さらに近年、現地在住者の観察によって浮き彫りになった第2の決定的な要因が、両国の「字幕文化(Subtitling)」と「吹き替え文化(Dubbing)」の差です。ポルトガルに居住する日本人滞在者が現地の家主(ポルトガル人オーナー)の自宅を訪れた際、非常に象徴的な光景を目撃しています。青い目をした3歳の娘さんがリビングでYouTubeのアニメを観ていたのですが、その音声はポルトガル語ではなく「英語音声のまま」だったのです。「3歳にしてポルトガル語ではなく英語でアニメを観るのか」と驚いて尋ねたところ、ポルトガルでは市場規模や歴史的経緯から、映画や海外ドラマ、アニメに至るまで「原語音声+字幕」で視聴するのが当たり前の文化として根付いていることが判明しました。
対照的に、隣のスペインではフランコ政権時代からの言語純化政策の名残もあり、ハリウッド映画も日本のアニメもほぼ100%「スペイン語に吹き替えて」放送されます。この幼少期からのメディア接触環境の違いが、成人のリスニング能力に劇的な差を生んでいます。ポルトガル人は3歳の頃から日常的に外国語の多様な音韻リズムを耳にして育つため、少し発音が違うスペイン語に対しても高い聴覚的柔軟性を発揮します。一方、すべて母語の吹き替え音声に囲まれて育つスペイン人は、標準的なスペイン語の発音から少しでも外れた音に対する耐性が低く、すぐ隣の国で話されているポルトガル語すら「まるでロシア語やポーランド語のようなスラブ系の呪文に聞こえる」と口を揃えるのです。
この現象は、ブラジルポルトガル語とヨーロッパ(イベリア)ポルトガル語の間でも顕著に現れます。サンパウロに3年間駐在した後、リスボンへ栄転した日本の商社マンは、当時の手記で「ブラジルで何不自由なく商談をこなしていた自信が、リスボン空港のカフェで打ち砕かれた。欧州のポルトガル語は母音を極限まで飲み込んで子音だけで高速発音するため、最初の1ヶ月は注文の聞き返しすらままならなかった」と生々しく告白しています。逆に言えば、母音を比較的ゆったりと響かせ、「t」や「d」を「チ」「ジ」と柔らかく発音するブラジルポルトガル語は、スペイン語話者にとっても日本人にとっても、ヨーロッパのポルトガル語よりはるかに聞き取りやすいという現場の事実があります。
SNSやYahoo!知恵袋、5chの語学スレッドに寄せられた利用者の生の声を検証しても、「スペイン語検定2級を取得してリオデジャネイロへ旅行したが、街中の看板やレストランのメニューは8割以上読めて感動した。しかしホテルのフロントスタッフの早口のポルトガル語は半分も聞き取れず、こちらがゆっくりスペイン語で話すと相手はすべて理解してポルトガル語で返してくるという奇妙な会話になった」という実体験が数多く報告されています。会話が通じるかどうかの真相は、「双方がゆっくり明瞭に話せば意思疎通は可能だが、自然なスピードではポルトガル語側からの片思いになりやすい」というのが偽らざる実態です。