夜間戦闘機「月光」驚異の迎撃力|斜め銃の誕生とB29撃墜の真実
夜間戦闘機「月光」驚異の迎撃力|斜め銃の誕生とB29撃墜の真実にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。
夜間戦闘機月光の代名詞である「斜め銃」を生み出したのは、当時ラバウルの第251海軍航空隊(旧台南海軍航空隊)司令であった小園安名(こぞの やすな)中佐の強固な信念でした。航空本部の反対を押し切り、現地工作班とともに二式陸上偵察機の胴体に九九式二〇ミリ機銃を斜め上方に向けて固定配置する現地改修を敢行しました。
斜め銃の仕組みは、敵爆撃機の後下方・死角から同航(同じ方向に飛行)しながら、機体を水平に保ったまま見上げる形で射撃を行う戦術です。従来の直線的な追尾攻撃では、敵機の防御銃火を正面から浴びる危険が高く、相対速度の差から照準時間が極めて短縮されてしまいます。これに対し、上方に約30度の角度で固定された斜め銃は、敵機のブラインドスポットから一定の距離を保ちつつ、脆弱な主翼下面や燃料タンクを連続掃射できる画期的な構造でした。
当時の搭乗員手記によると、「敵銃座の射角外から吸い付くように下腹部へ肉薄し、照準器に捉えた瞬間に引き金を引く。敵は撃たれたことすら気づかずに炎上した」と証言されています。この現地改修機の圧倒的な戦果を受け、海軍中央も正式に夜間戦闘機として認め、1943年8月に「月光」(J1N1-S)として制式採用されました。