鉄筋かぶり厚さ不足が招く倒壊危機|建築基準法とJass5の真相

鉄筋かぶり厚さ不足が招く倒壊危機|建築基準法とJass5の真相の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。

建築物のかぶり厚さには、守らなければ違法建築となる国の最低ラインと、十分な耐久性を確保するために学会が推奨する実務基準の2種類が存在します。前者が建築基準法施行令第79条、後者が日本建築学会が策定するJASS5鉄筋かぶり厚さ基準です。

建築基準法施行令第79条は、人命を守る最低限の安全限界を規定した「最小かぶり厚さ」であり、施工時の誤差は一切織り込まれていません。実際の現場では型枠のたわみや鉄筋の組み立て誤差が必ず生じるため、実務では最小かぶり厚さに施工誤差(標準として10mm)を加えた「設計かぶり厚さ」を設定して工事を行います。この実務基準を体系化したものがJASS5です。

土木構造物においては、土木学会コンクリート標準示方書に基づき、塩害環境や凍害リスクに応じたさらにシビアなかぶり厚さの照査が行われます。建築分野においても、基礎や外壁など過酷な環境に晒される部位ほど厳密な管理が求められます。

構造部位建築基準法施行令第79条(最小)JASS5設計基準(標準)現場のリスクと編集部の見解柱・梁(主要構造部)30mm以上(軽量コンクリートは40mm)40mm以上(最小30mm+誤差10mm)主筋の外側にある帯筋(フープ)・あばら筋(スターラップ)の外側から計測必須。測定位置の間違いが頻発。耐力壁・スラブ(床)20mm以上(屋外仕上げなしは30mm)30mm〜40mm以上作業員がスラブ配筋の上を踏み歩くことで鉄筋が沈下し、下側のかぶり厚さ不足が生じやすい。基礎立ち上がり部40mm以上(土に接する部分は40mm)50mm以上(住宅金融支援機構基準等)住宅基礎でトラブルが最も集中する箇所。幅150mmの基礎で芯振れを起こすと即座に基準割れとなる。基礎底面(土に接する部分)60mm以上(捨てコンクリート面は60mm)70mm〜80mm以上(直接土の場合は120mm)湿気・酸性水・地中微生物の影響を直に受けるため厳格。捨てコンクリートの打設精度が直結する。

表から読み取れる通り、「土に接する部分のかぶり厚さ理由」は極めて合理的です。土中には常に水分が滞留しており、酸性雨や有機酸、地下水に含まれる塩化物イオンなどの腐食因子が絶えずコンクリート表面を攻撃します。地上部分よりもはるかに過酷な環境にあるため、基礎底面では最低でも60mmという分厚い保護層が法律によって義務付けられています。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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