溝口健二の遺作『赤線』が暴く昭和の光と影!現代に響く女たちの叫び
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本作が公開された1956年は、日本社会が劇的な転換期を迎えていた年だ。国会で長年紛糾していた売春防止法の成立が目前に迫り、いわゆる公認の風俗街が消滅しようとしていた激動の瞬間である。溝口健二はその渦中にあった東京・吉原の特殊飲食店「夢の里」を舞台に選び、時代の終焉に立ち向かう5人の女性たちを描き出した。
ここで描かれるのは、安っぽい同情や甘美な感傷ではない。借金返済のために身体を売る者、病気の夫と幼子を養うために客引きをする者、自らの狡知で男たちから金を巻き上げ這い上がろうとする者――そこにあるのは剥き出しの生活苦と、金がすべての冷徹な経済活動だ。『赤線地帯』は、国家の法制度の狭間で翻弄される庶民の姿を捉えた最高峰の社会派ドラマとして、当時の日本映画界に強烈な衝撃を与えた。