高力ボルトとは?普通ボルトとの違いと巨大建造物を支える摩擦接合の真相

高力ボルトとは?普通ボルトとの違いと巨大建造物を支える摩擦接合の真相について見逃せない 注意点を分かりやすく解説いたします。

鉄骨造の現場を歩くと、頭部が丸いボルトと六角形のボルトの2種類が存在することに気づきます。日本の建築現場で圧倒的なシェアを誇るのがトルシア形高力ボルトであり、土木橋梁や特殊部位で活躍するのが高力六角ボルトです。この2つの使い分けを理解する鍵は、F10TとS10T規格の違いにあります。

「F10T」のFはFriction(摩擦)、10は引張強さが約1,000N/mm²級であること、TはTensile(引張)を意味し、JIS B 1186で規定される六角ボルトの最高強度区分です。施工時はトルクレンチを用い、作業者が数値を目盛りで管理しながら締め付ける必要があります。一方の「S10T」はStructural(構造用)を冠した国土交通大臣認定規格(JSS II 09など)に基づくトルシア形ボルトを指します。ボルト先端に「ピンテール」と呼ばれる溝付き突起が設けられており、専用の電動レンチで締め付けると、所定の張力に達した瞬間にピンテールが自動的にねじ切れる画期的な機構を備えています。

ボルト規格・種類機械的性質(引張強さ)主な締結方式・現場基準施工性および適用領域の評価普通ボルト(4.6〜4.8等)400N/mm²前後支圧接合(手工具締結が主)主構造には適用不可。仮設や二次部材(胴縁など)に限定高力六角ボルト(F10T)1,000〜1,200N/mm²摩擦接合(トルクコントロール法)JIS規格品。土木・道路橋梁や、トルシアレンチが入らない狭小部に必須トルシア形高力ボルト(S10T)1,000〜1,200N/mm²摩擦接合(ピンテール破断管理)建築鉄骨のデファクトスタンダード。締結トルクの個人差を完全排除超高力ボルト(12.9級等)1,200N/mm²以上高密度摩擦接合(大臣認定特殊品)柱・梁の大型接合部用。ボルト本数を減らしディテールを合理化可能

ビル建築においてトルシア形が普及したのは、施工精度の均一化が図れるからです。作業者の腕力や勘に依存せず、電動工具のソケットを差し込んでトリガーを引くだけで、設計上必要なボルト軸力が確実に導入されます。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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