馬酔木(あしび)の毒性と花言葉の真相|万葉集から庭木の注意点まで解説

馬酔木(あしび)の毒性と花言葉の真相|万葉集から庭木の注意点まで解説の注目されている理由を丁寧にまとめました。全体像を一目で把握できます。

馬酔木を語る上で避けて通れないのが、植物全体に含まれる有毒アルカロイドおよびグラヤノトキシン類(旧称:アセボトキシン、アセボプルプリンなど)の存在です。ツツジ科特有のこの神経毒は、細胞膜のナトリウムチャネルに結合して過剰な興奮を引き起こし、重篤な中毒症状をもたらします。

人間や動物が誤って葉や花、蕾を口にした場合、早ければ30分から数時間以内に以下のような症状が現れます。

  • 初期症状:過度の流涎(よだれ)、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、口腔内のしびれ
  • 重篤化した場合:血圧低下、徐脈、運動麻痺、呼吸困難、意識混濁、痙攣

「馬酔木」という漢字表記は、放牧された馬がこの葉を食べて脚がもつれ、まるで酒に酔ったようにふらついて倒れた様子に由来します。学名の「Pieris japonica」も日本原産であることを示していますが、古くは葉を煎じた液を農業用殺虫剤や便所のウジ殺しとして利用していた歴史があるほど、その毒性は強力です。

なお、呼称について「あしび」と「あせび」のどちらが正しいのかという疑問をよく耳にしますが、植物学上の標準和名は「アセビ」です。万葉集をはじめとする古典文学や俳句の季語では古語の「あしび(悪し実・あし美)」が好んで用いられ、現代ではどちらの呼び名も広く定着しています。

この強烈な毒性を物語る身近なフィールドワークの例が、奈良公園の植生です。公園内のニホンジカは極めて食欲旺盛ですが、毒性を持つ馬酔木を決して食べません。その結果、他の植物が食べ尽くされるなかで馬酔木だけが群落を形成し、見事な景観を作り出している光景は生態学的にも広く知られています。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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