任天堂とマリナーズの真実|買収理由と現在の持ち株比率を徹底解明

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時計の針を1991年末に戻しましょう。当時、シアトル・マリナーズは深刻な経営難に陥り、オーナーのジェフ・スミュリアン氏がフロリダ州タンパベイへの球団移転を画策していました。シアトルからMLB球団が消滅する寸前、地元の政財界はチーム救済に向けて奔走します。

そこで白羽の矢が立ったのが、シアトル近郊のワシントン州レドモンドに米国本社を構えるNintendo of America(任天堂アメリカ)でした。地元選出のスレード・ゴートン上院議員らから熱烈な要請を受けた任天堂の第3代社長・山内溥氏は、即座に支援を快諾します。

買収総額約1億2500万ドルのうち、山内氏個人が約1億ドル(出資比率約60%)を拠出。その動機は投資利益ではなく、北米ビジネスの成功を支えてくれたシアトルの地域社会に対する「恩返し」でした。当時、アメリカ国内では日本企業による不動産買収への警戒感が強く、MLB機構も「北米以外のオーナーシップ」に難色を示しましたが、議決権を現地マネジメントに委ねる条件などをクリアし、1992年に正式な買収が承認されたのです。

驚くべきことに、山内溥氏は球団オーナーを務めた約20年間、一度もマリナーズの試合を生観戦しませんでした。「口を出さず、資金と信頼を提供する」という山内流の哲学は、米スポーツ界でも稀有なオーナー像として語り継がれています。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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