手首式血圧計の正確性は?高く出る3つの原因と正しい測り方を徹底解説
手首式血圧計の正確性は?高く出る3つの原因と正しい測り方を徹底解説の真相や最新動向に迫る! 専門的な視点で紐解きます。
日本高血圧学会(JSH)が発行する『高血圧治療ガイドライン』において、家庭血圧測定の標準器として明確に指定されているのは「上腕カフ方式」です。病院の循環器内科や健康診断の現場で、医師や看護師が手首式血圧計を積極的に勧めない背景には、単なる精度の優劣を超えた医学的エビデンスの蓄積が関係しています。
世界中で実施されてきた大規模な臨床研究(大迫研究など)や降圧薬の大規模治験は、ほぼすべて上腕動脈の測定データをベースに構築されています。「家庭血圧で135/85mmHg以上が高血圧」という国際基準値そのものが、上腕で測定された数値を前提に定義されているのです。手首での測定値は、末梢血管の抵抗や脈波の反射波の影響を受けやすく、上腕と同等に評価するには換算のばらつきが生じます。
都内の総合病院に勤務する循環器内科医は、次のように警鐘を鳴らします。
「外来で『家で測ると血圧が160を超えている』と慌てて駆け込んでくる患者さんのうち、手首式を持参してもらい院内の水銀柱標準器や上腕自動血圧計と比較すると、実際は130台前半だったという事例は日常茶飯事です。多くの方は机の上に手を置いたまま、心臓よりかなり低い位置で測定していました。逆に、心不全や末梢動脈疾患(PAD)、重度の糖尿病を患っている方では、手首の血流が極端に落ちて実態より低く測定される危険性もあります。治療方針を決定する診断期には、上腕式でのデータ提出を強くお願いしています」
医療現場が上腕式にこだわるのは、数値の誤差が薬の増量や減量といった処方の過誤に直結するためです。手首式を全否定しているわけではなく、「診断や投薬コントロールの根拠とするにはリスクが残る」というのが医学界の公式見解です。