横浜中華街の老舗閉店が相次ぐ決定打|聘珍樓破産と街の劇的変容
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すべての老舗が時代の波に呑まれたわけではありません。激動の2020年代を生き抜き、2026年の現在も揺るぎないブランド力を誇示している老舗には、明確な共通点があります。その筆頭が、明治創業の広東料理の雄「同發(どうはつ)」と、四川料理の最高峰として君臨する「重慶飯店(じゅうけいはんてん)」です。
同發の勝因は、徹底した「専門性の死守とモダンな再構築」にあります。名物のチャーシューや皮付き豚バラ肉のローストといった伝統の「焼物(チャーシュー)」のクオリティを頑なに維持しつつ、歴史的建造物を活かした本館のリニューアルを実施。さらに中華菓子の直営売店や、若者や女性が気軽に入れる洗練されたカフェ「同發茶寮」を展開することで、伝統の味を若い世代のライフスタイルに合わせて再定義しました。大衆化に流されず、「同發でしか味わえない本物」を磨き上げたことが熱烈な支持を繋ぎ止めています。
一方の重慶飯店は、「ホテル事業との多角的シナジーとEC・物販の全国制覇」で盤石の経営基盤を確立しました。自社グループが運営する「ローズホテル横浜」との連携によるハイエンドな宿泊・飲食体験の提供はもちろん、デパ地下への総菜・点心出店や、麻婆豆腐の素・番餅(ばんぴん)などのギフト商品を全国の流通網・ECで拡大。店舗のイートイン収入だけに頼らない多重の収益ピラーを構築していたからこそ、観光客が蒸発した苦境期も持ちこたえ、次の投資へと舵を切ることができたのです。
生き残る老舗名店一覧を見渡すと、萬珍樓(まんちんろう)の徹底した衛生管理と高級路線、菜香新記(広東名菜 菜香)の飲茶特化型ブランディングなど、いずれも「自店のコアコンピタンス(中核的強み)」を明確にし、安売り競争から意図的に距離を置いた店舗ばかりであることがわかります。