349名死亡のニューデリー空中衝突事故|視界良好の空で起きた悲劇

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事故当時、現場周辺の気象条件は良好で、視程も十分に確保されていました。それにもかかわらず、なぜ巨体同士の激突を防ぐことができなかったのでしょうか。調査委員会による航空管制官 交信記録の精査とフライトレコーダーの解析により、信じがたいヒューマンエラーの実態が露呈しました。

最大の要因となったのは、カザフスタン機 高度誤認と、同乗していた通信士を介した不自然な意思疎通構造です。旧ソ連製のイリューシン76型機では、機長や副操縦士席と通信士席が物理的に離れて配置されていました。さらに決定的な問題として、操縦士2名が国際共通語である航空英語を十分に解せず、英語が話せる専任の通信士が唯一、地上管制とのやりとりを一手に引き受けていました。

管制官はカザフスタン機に対して明確に「Maintain flight level 150(高度15,000フィートを維持せよ)」と指示を出していました。通信士もこの指示を正確に復唱していましたが、操縦桿を握っていたパイロットたちには指示された高度の数字が正しく共有されていなかったのです。

コクピットボイスレコーダー(CVR)の記録によると、カザフスタン機の計器はすでに15,000フィートを通過し、下限を大幅に割り込んで降下を続けていました。通信士が外部の通信に追われている間、パイロットは高度計の監視を怠り、機体は指示高度より1,000フィート以上も低い13,700フィート付近まで滑り落ちていました。

交差予定時刻の直前、通信士がふと計器に目を戻した瞬間、自機がサウジ機の割り当て高度である14,000フィート以下にいることに気づき、ロシア語で激しく絶叫しました。「高度を保て! 150だ! 上昇しろ!」。パイロットは慌ててスロットルを全開にして機首を引き上げましたが、時すでに遅く、指定高度14,000フィートで水平飛行に入っていたサウジ機の胴体後部へ、急上昇するカザフスタン機の左主翼が激突したのです。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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