Tube『シーズン・イン・ザ・サン』の深層|織田哲郎の秘話と歌詞の真実
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この楽曲を語る上で欠かせないのが、作編曲を手がけた織田哲郎氏による作曲秘話です。当時、気鋭のソングライターとして頭角を現していた織田氏のもとに、「とにかくビールが最高に美味しく飲める、突き抜けた夏のヒット曲を作ってほしい」という極めてハードルの高いオーダーが舞い込みました。
当時のインタビューや自著において、織田氏は「自分自身は本来、内省的でダークなロックやブルースをルーツとしていたため、極彩色の突き抜けたサマー・ポップスを書くことには当初、激しい葛藤があった」と率直に告白しています。しかし、プロの作家として妥協を排し、洋楽のウエストコースト・ロックやAORのエッセンスを80年代J-POPのフォーマットに落とし込む高度なコードワークを考案。短調(マイナー)の哀愁を帯びたヴァースから、長調(メジャー)へと劇的に視界が開けるサビへのコントラストを緻密に構築しました。
そして、その緻密な楽曲に生命を吹き込んだのが、前田亘輝氏の圧倒的なボーカルでした。当時弱冠21歳だった前田氏の歌声は、太く伸びやかなハイトーンと、独特のハスキーな倍音成分を併せ持っていました。単なる爽やか路線にとどまらない、どこか野性味と切なさを帯びた魂のシャウトは、織田氏がメロディに込めた「哀愁の陰影」を完璧に具現化し、多くのリスナーの胸を激しく揺さぶったのです。