「右の頬を打たれたら」本当の意味とは?我慢ではないイエスの非暴力抵抗

「右の頬を打たれたら」本当の意味とは?我慢ではないイエスの非暴力抵抗について徹底解説いたします。専門家の見解をチェックしてください。

この教えは、新約聖書の『マタイによる福音書』第5章38節から42節、いわゆる「山上の垂訓(さんじょうのすいくん)」と呼ばれる場面に記された、イエス・キリストの教えの中核です。前後関係を正しく理解するには、直前に語られた「目には目を、歯には歯を」という旧約聖書由来の律法(同害復讐法)との比較が欠かせません。

古代社会における「目には目を」は、しばしば残酷な復讐を認める規定と誤解されますが、本来は「目をやられたら相手の命まで奪う」といった過剰な私刑を禁じ、被害と同等の代償にとどめるための法規範でした。イエスはこの均衡原則を踏まえたうえで、「悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」と語りかけます。

聖書学者ウォルター・ウィンク(Walter Wink)をはじめとする近現代の研究機関による歴史的背景の調査では、この教えは決して「従順な奴隷になれ」という指示ではないことが実証されています。当時のパレスチナはローマ帝国の軍事支配下にあり、一般民衆は日常的に理不尽な暴力と搾取に晒されていました。武力で反乱を起こせば即座に処刑され、かといって卑屈にへつらえば人間としての尊厳を失うという極限状態の中で、イエスが提示したのが「報復でも逃走でもない、第三の道(創造的非暴力抵抗)」でした。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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