緒形拳の遺作『風のガーデン』…病を隠して演じ切った壮絶な真相

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名優・緒形拳の遺作となったドラマ『風のガーデン』や映画の裏で一体何が起きていたのか。病をひた隠し、命を削って演じ切った壮絶な覚悟と感動の秘話とは何だったのでしょうか。2008年10月5日、緒形拳さんが急逝したという一報は、列島を駆け巡り芸能界のみならず社会全体に深い悲嘆をもたらしました。当時、フジテレビ系列の開局50周年記念ドラマとして鳴り物入りで制作されていた『風のガーデン』の初回放送(10月9日)をわずか4日後に控えたタイミングだったからです。

緒形さんが演じたのは、北海道・富良野で在宅医療に尽力する老医師・白鳥貞三でした。ドラマは、東京で麻酔科医として活躍しながら末期がんに侵された息子・貞美(中井貴一さん)が、絶縁状態にあった父・貞三が暮らす故郷へ戻り、自らの人生の幕引きを見つめ直すヒューマンドラマです。劇中で緒形さんは、患者の死を穏やかに看取る慈愛に満ちた医師を熱演していました。しかし驚くべきことに、演じている緒形さん自身が、白鳥貞三と同じく死の淵と隣り合わせの極限状態にあったのです。

一方、スクリーンにおける最後の姿となった緒形拳 遺作映画が、同年7月に公開された『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』でした。緒形さんは妖怪族の首領である「ぬらりひょん」役を担当。重厚な特殊メイクを施し、若手俳優たちを圧倒する不気味さと威厳を兼ね備えた怪演を見せました。過酷な特殊メイクと真夏の撮影スケジュールを、誰にも弱音を吐かずに完遂していた事実は、当時の現場スタッフを後になって驚愕させました。映画で異形の存在を圧倒的な迫力で演じ、ドラマでは静かに生と死を見つめる医師を演じる。表現者として振れ幅の極致を、自らの命が尽き果てる瞬間まで体現していたのです。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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