抑制栽培とは?促成栽培との違いやあえて出荷を遅らせる狙いを徹底解剖
抑制栽培とは?促成栽培との違いやあえて出荷を遅らせる狙いを徹底解剖について知っておくべき ポイントを分かりやすく解説いたします。
抑制栽培の基本概念は、自然の気象条件に任せて育てる「普通栽培(露地栽培)」に比べ、作物の生育サイクルをコントロールして収穫および出荷の時期を意図的に後ろ倒しにする栽培方式です。たとえば、本来は初夏から夏にかけてピークを迎えるトマトやきゅうりを秋から初冬にかけて収穫したり、春や秋が旬であるキャベツやレタスを真夏に収穫したりする手法がこれに該当します。
では、なぜ生産者は多大な設備や手間をかけてまで、自然の摂理に逆らって出荷時期を遅らせるのでしょうか。その決定的な理由は、市場経済における「端境期(はざかいき)」の攻略にあります。
端境期とは、ある作物の産地が切り替わるタイミングや、露地物が一斉に出荷を終えて市場全体の流通量がガクンと落ち込む季節の変わり目のことです。野菜の卸売価格は、東京都中央卸売市場をはじめとする主要市場の需給バランスによってシビアに決定されます。普通栽培の最盛期には全国から大量の野菜が集まるため、どれほど品質が優れていても供給過多によって価格破壊(いわゆる豊作貧乏)が起きかねません。
一方、大半の産地で出荷が途切れる端境期に良質な作物を安定供給できれば、買い手である仲卸やスーパーの間で激しい争奪戦が起こり、取引単価が通常期の1.5倍から2倍以上へと跳ね上がります。つまり、抑制栽培とは「供給が枯渇する空白地帯」をピンポイントで狙い撃ちし、確実な高単価メリットを享受するために綿密に計算された農業ビジネスモデルなのです。