「情に棹させば流される」の意味とは?漱石『草枕』名句の誤用と真実
「情に棹させば流される」の意味とは?漱石『草枕』名句の誤用と真実について徹底解説いたします。詳細な分析をチェックしてください。
この言葉の真髄を味わうためには、夏目漱石が明治39年(1906年)に発表した小説『草枕』の有名な一節全体を読み解く必要があります。まずはその冒頭全文を確認してみましょう。
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」
漱石はこの短いフレーズの中で、人間が社会生活を送るうえで直面する3つの大きな葛藤を鮮烈に対比させています。
- 智に働けば角が立つ:理屈や論理だけで割り切ろうとすると、他者と衝突してトゲトゲしい人間関係になる。
- 情に棹させば流される:かといって感情や情理ばかりに寄り添えば、流されて自己の規律や判断基準を失う。
- 意地を通せば窮屈だ:自分の信念やプライドを頑固に押し通せば、周囲との折り合いがつかず孤立して息苦しくなる。
そして導き出されるのが「とかくに人の世は住みにくい」という結びです。どれか一つに偏っても決してうまくはいかないという、人間社会の本質的な生きづらさを見事に言い当てた名文として、今もなお語り継がれています。