スペイン国旗の意味とは?血と金の由来とヘラクレスの柱の真実
スペイン国旗の意味とは?血と金の由来とヘラクレスの柱の真実についての真相をお届けします。
スペイン国旗の左寄り(旗竿側から3分の1の位置)に配置されている国章は、古代神話から帝国の興亡に至る壮大な世界観を描き出しています。その中でもひときわ異彩を放つのが、盾の両脇にそびえ立つ2本の巨大な石柱「ヘラクレスの柱(Columnas de Hércules)」です。
古代ギリシャ・ローマの世界観において、地中海と大西洋を隔てるジブラルタル海峡は世界の最果てとみなされていました。怪力神ヘラクレスが山を引き裂いて海峡を造った際、その両岸に立てた境界標がこの柱であり、そこにはかつて「ノン・プルス・ウルトラ(Non Plus Ultra/この先には何もない)」というラテン語の警告が刻まれていたと伝えられます。大西洋の先は底知れぬ冥界であり、人類が決して越えてはならない限界線だったのです。
この世界観を根底から覆したのが、1492年のコロンブスによる新大陸到達でした。神聖ローマ帝国皇帝を兼ねたスペイン国王カルロス1世(皇帝カール5世)は、否定語の「Non」をあえて削り取り、「プルス・ウルトラ(Plus Ultra/さらなる前進、その先へ)」という言葉を自らの標語(モットー)として柱に巻きつけました。「限界など存在しない」「未知の海洋の先へ領土を拡大する」という、大航海時代を切り拓いたスペイン帝国の猛烈な覇権意識がここに宣言されたのです。
さらに注目すべきは、柱の頂上に置かれた左右の冠の違いです。向かって左の柱には「神聖ローマ帝国の皇帝冠」、向かって右の柱には「スペイン王室の王冠」が戴冠しています。カルロス1世が欧州の広大な領域と新大陸の双方に君臨した「太陽の沈まぬ帝国」の威光が、左右非対称の王冠という精密な意匠によって現代にも受け継がれています。