過酸化水素と過マンガン酸カリウム|反応の仕組みと滴定計算を徹底解説
過酸化水素と過マンガン酸カリウム|反応の仕組みと滴定計算を徹底解説に関する深掘り記事をまとめてご紹介します。関心のある方は必見です。
過酸化水素(H₂O₂)は、オキシドールとして傷口の消毒に使われることからも分かる通り、通常は相手から電子を奪って自身が水(H₂O)になる強力な「酸化剤」として知られています。しかし、相手が過マンガン酸カリウム(KMnO₄)となると、話は一変します。なぜ過酸化水素が還元剤として振る舞うのか、その理由は両者の「酸化力の絶対的な力関係(相対性)」にあります。
化学の世界における酸化剤・還元剤の役割は固定されたものではなく、出会った相手との相対的な酸化還元電位によって決まります。過マンガン酸カリウムに含まれる過マンガン酸イオン(MnO₄⁻)の中心にあるマンガン(Mn)は、酸化数が最高値である「+7」という極めて電子に飢えた状態にあります。一方、過酸化水素の酸素(O)の酸化数は「-1」です。酸素の通常の酸化数は「-2」ですから、H₂O₂は過マンガン酸カリウムの圧倒的な酸化力(電子を引き抜く力)に屈し、電子を強制的に手放さざるを得なくなります。
その結果、過酸化水素から電子が2つ奪われ、酸化数-1の酸素原子が酸化数0の気体分子、すなわち「酸素(O₂)」へと酸化されて激しく発泡します。同時に、電子を受け取った過マンガン酸イオン(MnO₄⁻)は、酸化数+7の鮮やかな赤紫色から、酸化数+2のマンガン(II)イオン(Mn²⁺)へと還元されます。水溶液中のMn²⁺は肉眼ではほぼ無色(極めて薄い桃色)に見えるため、激しい気泡発生とともに「一瞬で赤紫色が完全に消え去る」という劇的な変化が起きるのです。