発達障害の脳で何が起きているのか?定型発達との違いと最新科学の真実

発達障害の脳で何が起きているのか?定型発達との違いと最新科学の真実とは一体何なのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。

SNSやネット掲示板において、「発達障害の人の脳は縮んでいる」「脳萎縮があるから治らない」といった極端な言説が散見されます。しかし、発達障害と脳萎縮の真相を医学的データから検証すると、これらは完全な誤認であることが分かります。

脳萎縮とは、アルツハイマー型認知症などの神経変性疾患のように、脳細胞そのものが死滅・脱落して脳組織全体の容積が物理的に減少していく現象を指します。発達障害においてこのような組織壊死は発生しません。

誤解が生じた背景には、小児期から成人期にかけての大脳皮質の「発達遅延」に関する過去の論文があります。NIH(米国国立衛生研究所)の縦断的研究によれば、ADHD児の皮質厚(特に前頭前野)が最も厚くなるピーク年齢は、定型発達児よりも約2〜3年遅れることが確認されています。しかし、成長に伴いその厚みは追いついていくケースが多く、細胞が失われて容積が減る「萎縮」とは全く性質が異なります。

また、ASDではむしろ幼児期に脳の容積が定型児よりも一時的に急速拡大し、その後の神経シナプスの刈り込み(プルーニング)が標準的なスケジュールと異なって進むことが判明しています。「萎縮している」という言葉は、医学的知見を曲解した危険な偏見に過ぎません。

さらに、「民間クリニックの自費MRIや脳波検査を受ければ、それだけで診断が確定する」と謳う高額診療ビジネスへの注意も必要です。日本精神神経学会のガイドラインでも明記されている通り、画像検査は脳腫瘍やてんかんなど「器質性・症状性の他疾患を除外するため」に行われるのが標準であり、問診や行動観察を排して画像だけで診断を下す手法は確立されていません。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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