スイスで最期を迎えた日本人たち、現地審査の実態と家族の葛藤
スイスで最期を迎えた日本人たち、現地審査の実態と家族の葛藤に関する主要なデータを分かりやすく解説いたします。
スイスで尊厳死を希望する日本人が門を叩く組織は、主に3つ存在する。世界的に知られる老舗団体のディグニタス(DIGNITAS)、医師でもあるエリカ・プライシヒ(Dr. Erika Preisig)氏が設立したライフサークル(lifecircle)、そして近年英語圏やアジア圏からの受け入れを急速に拡大させているペガソス・スイス・アソシエーション(Pegasos)だ。
各団体への申請プロセスは厳格を極める。決して「誰でも簡単に死ねる」場所ではない。提出が求められる主な条件とプロセスは以下の通りだ。
・回復不能な重篤疾患、耐え難い苦痛、または不可逆的な障害の医学的証明
・精神鑑定を含む完全な判断能力(意思決定能力)の証明
・複数回の面談とスイス人医師による直接診断(グリーンライトの取得)
・年会費、審査料、致死薬処方代、現地での火葬および行政手続き費用(総額で約150万〜250万円程度)
現地での最期は驚くほど静粛に進む。致死量のバルビツール酸系睡眠薬(ペントバルビタールナトリウム)を自ら服用、または点滴のコックを開放すると、患者は数分で深い昏睡に陥り、やがて呼吸が停止する。2026年現在、手続きのオンライン化が進む一方で、判断能力の審査基準は認知症患者の増加に伴いさらに厳格化されており、渡航のタイミングを見誤ると「手遅れ」になるという残酷なタイムリミットが当事者を苦しめている。