耳下腺はどこ?耳下のしこりや痛みの正体と腫瘍・リンパ節の見分け方
耳下腺はどこ?耳下のしこりや痛みの正体と腫瘍・リンパ節の見分け方について知っておくべき 注意点を分かりやすく解説いたします。
耳下腺という名称を聞くと「耳の穴の真下だけ」をイメージしがちだが、解剖学的に見ると想像以上に広い範囲に広がっている。耳下腺は、大唾液腺と呼ばれる3つの唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)の中で最も大きな組織である。
具体的な位置関係は下表のテキスト配置イメージの通り、耳たぶの前側から下側、そして下顎の骨(エラ)の角を包み込むようにして存在している。
【耳下腺の解剖学的位置関係】
[ 目 ]
│
[耳の穴]──[頬骨弓]
│ │
[耳たぶ]──【 耳 下 腺 】(耳の前下部から広がる)
│ │ └─導管(ステノン管)が頬粘膜へ
└───[下顎角(エラ)]
│
[ 顎下腺 ](エラの内側・下部)
成人の耳下腺の重量は片側でおよそ15〜30グラムほどあり、サラサラとした水分主体の唾液(漿液性唾液)を分泌する。耳下腺で作られた唾液は、耳下腺管(ステノン管)と呼ばれる細い管を通って、上の奥歯(上顎第2大臼歯)の向かい側にある頬の内側の粘膜から口腔内へと放出されている。
セルフチェックで場所を確認する際は、まず耳たぶのすぐ後ろの骨のくぼみ(乳様突起の前方)から、耳たぶの前、そしてエラの骨の角に向かって指腹を優しく滑らせてみてほしい。健康な状態であれば周囲の組織と滑らかになじんでおり、外から明確な塊として触れることはない。もしこのエリアに「境界が触れるコリコリした塊」や「押した際の圧痛」「左右差のある明らかな膨らみ」があれば、耳下腺そのもの、あるいはその内部・周囲のリンパ節に何らかの異変が起きているシグナルである。
さらに耳下腺の構造で極めて重要なのが、脳から出て顔の表情筋をコントロールする顔面神経が、耳下腺の内部を貫通してクモの巣のように枝分かれしている点だ。この解剖学的特徴のため、耳下腺の病変や手術に際しては「顔面神経麻痺を起こさないこと」が医療現場における最大の配慮事項となる。