流行語大賞はおかしい?「誰も使ってない」違和感の真相と選考の裏側

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世間の認知度と受賞結果が乖離するもうひとつの決定打が、長年にわたって固定化されている「選考委員会」のメンバー構成です。近年の選考委員には、姜尚中氏(東京大学名誉教授)、金田一秀穂氏(言語学者)、辛酸なめ子氏(漫画家・コラムニスト)、俵万智氏(歌人)、室井滋氏(女優・エッセイスト)、やくみつる氏(漫画家)、そして『現代用語の基礎知識』編集長らが名を連ねてきました。

顔ぶれを見れば明らかなように、メンバーの多くは昭和から平成の活字文化・マスメディアの第一線で活躍してきた知識人や文化人であり、選考委員の平均年齢は60代半ばから70代に達しています。この世代構成そのものが悪いわけではありませんが、彼ら彼女らが日々接している情報環境や言語感覚は、必然的にオールドメディア(新聞・地上波テレビ・一般総合誌)の報道文脈に強く依存します。

その結果、過去には「保育園落ちた日本死ね」「アベ政治を許さない」「集団的自衛権」といった、政権批判や社会運動に直結するフレーズが立て続けにトップ10や大賞に選出され、「特定のリベラルな政治思想に偏りすぎている」「年末の娯楽イベントに政治的主張を持ち込むな」といった激しい世論の反発を招きました。

ある大手新聞社の元論説委員は、当時の報道フロアの空気を次のように振り返っています。「マスコミ人にとって、社会を揺さぶった政治的言説こそが最も価値ある『言葉』です。しかし、一般生活者にとっては、日々の暮らしで誰も口にしていないスローガンを『流行語』として押し付けられることへの抵抗感が勝った。この選定基準の独善性が、賞全体の信用を損ねた転換点でした」。審査員の嗜好と生活者の肌感覚の断絶は、この選考体制が見直されない限り、解消されることはありません。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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