「お前のものは俺のもの」の真相|暴言か美談か?元ネタと心理学を解剖
「お前のものは俺のもの」の真相|暴言か美談か?元ネタと心理学を解剖について知っておくべき 事実を厳選して解説いたします。
ジャイアンの完全な創作だと思われがちなこの言い回しですが、実はヨーロッパの古典文学や民俗的な言いまわしに明確な元ネタが存在します。
最も著名な文学的ルーツとされるのが、ウィリアム・シェイクスピアが1604年頃に執筆した戯曲『尺には尺を(Measure for Measure)』の第5幕第1場に登場するセリフです。
「What's mine is yours, and what is yours is mine.(私のものはあなたのもの、あなたのものは私のもの)」
シェイクスピアの劇中では、公爵がヒロインのイザベラに対して結婚を申し込む場面で使われており、「互いのすべてを共有し、分かち合おう」という至極の愛と連帯の誓いとして表現されています。
一方で、英語圏の民間伝承やことわざ辞典には、これを皮肉たっぷりにねじ曲げた表現が古くから記録されています。1732年に編纂されたトーマス・フラーの格言集には、すでに次の一文が見られます。
「What's yours is mine, and what's mine is my own.」(お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの)
相手の権利は一方的に奪い、自分の取り分は一切譲らないという、人間の強欲さやエゴイズムを風刺したブラックユーモアです。藤子・F・不二雄氏がこの英語の慣用句を直訳してジャイアンの口癖に採用したのか、それとも偶然の発想の一致なのかについて公式な明言はありませんが、博識で知られた同氏が海外の寓話や慣用句を下敷きにした可能性は極めて高いと考えられています。