とりわさとは?鳥刺しとの違いや部位・食中毒リスクの真実を徹底解剖
とりわさとは?鳥刺しとの違いや部位・食中毒リスクの真実を徹底解剖についての疑問解決ガイドを徹底解説します。
日本酒通の間で不動の地位を築いてきた「とりわさ」ですが、そもそもどのような定義を持つ料理なのでしょうか。名称の通り「鶏」と「山葵(わさび)」を組み合わせたこの料理は、一口大に切り分けた鶏肉をわさび醤油や特製の和えダレで食す和食の伝統的な一品です。一般的には、ごく短時間だけ熱湯にくぐらせて冷水に落とす「湯引き(霜降り)」と呼ばれる表面加熱が施され、中心部は艶やかなレア状態を残したまま提供されます。
ここで重要な関心事となるのが、使われているとりわさの部位です。とりわさにおいて圧倒的主役を務めるのは、胸肉のさらに奥に位置する極上の赤身肉「鶏ささみ」、次いで肉質のきめが細やかな「胸肉」です。鶏のささみは羽を動かす筋肉でありながら、牛や豚のヒレ肉に匹敵する柔らかさを誇り、脂質が極限まで少ないという特性を備えています。脂の融点が高く冷えると凝固しやすい鶏肉において、脂のないささみは冷製で味わう酒肴として理想的な素材だったのです。
一方、メニュー表を眺めていて多くの人が混同するのがとりわさと鳥刺しの違いです。南九州(鹿児島県・宮崎県)で独自の食文化として根付く「鳥刺し」は、基本的に加熱を行わない完全な生食肉であり、使用される部位もモモ肉、胸肉、心臓(ハツ)、砂肝、肝(レバー)など多岐にわたります。さらに、鹿児島県や宮崎県では独自の「生食用食鳥肉等の安全基準」が都道府県条例等として厳格に定められており、専用の処理ラインで解体された認証肉だけが鳥刺しとして流通しています。
対して、とりわさは関東近郊の蕎麦前(蕎麦を待つ間に飲む酒)や軍鶏(しゃも)鍋店、大衆酒場などを基点に発展した歴史を持ちます。あくまで湯引きという日本料理の下処理技法を介して「表面の雑味を落とし、生のような柔らかさを楽しむ」ことを企図した調理形態であり、地域条例による生食用の衛生ガイドラインに守られた南九州の鳥刺しとは、流通している肉の処理プロセスや前提条件が根本から異なっています。