なぜハツは蹴りたくなったのか?『蹴りたい背中』結末と心理を徹底考察
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物語の舞台は、どこにでもある平凡な高校の教室です。しかし、そこに広がる人間関係の力学は、思春期特有の残酷さと息苦しさに満ちています。
主人公の長谷川初実(ハツ)は、高校1年生。明るく要領の良いグループの輪に入れず、教室の中で「あぶれ者」としてのポジションに甘んじています。休み時間に机の上で寝たふりをし、誰からも声をかけられない静寂に耐えながら、周囲の生徒たちを見下すことでかろうじて自尊心を保っています。
そんなハツの視界に入り込んできたのが、同じくクラスで浮いた存在のにな川でした。にな川は、人気ファッションモデルの「オチャン」に狂信的な執着を寄せるオタク気質の少年です。身の回りの雑誌の切り抜き、グッズ、出演番組の録画テープに全生活を捧げており、クラスメイトの存在など一切眼中にありません。
ある日、にな川が教室に持ち込んでいた女性ファッション誌をハツが偶然目にしたことをきっかけに、二人の奇妙な交流が始まります。にな川は、オチャンが掲載されている雑誌を譲り受けるため、ハツを自分の部屋へと招き入れます。そこでハツが目撃したのは、壁一面にオチャンのポスターや写真が貼られた異様な空間でした。
二人は友達になるわけでも、恋人同士になるわけでもありません。ただ、群れをなすクラスメイトたちから切り離された「余り者同士」として、放課後の理科準備室や通学路で、どこか刺々しい時間を共有していくことになります。