平家物語「沙羅の花」の真実!夏椿との違いや京都の名所・見頃を徹底解剖
平家物語「沙羅の花」の真実!夏椿との違いや京都の名所・見頃を徹底解剖の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。
実は、植物学の観点から見ると、日本の寺院や庭園で見られる沙羅の花とお釈迦様の沙羅双樹は全くの別物です。
本物の沙羅双樹は、インドや東南アジアの熱帯雨林に自生するフタバガキ科の高木(学名:Shorea robusta)です。樹高は30メートルを超える巨木に成長し、春に淡い黄色がかった小さな花を無数に咲かせます。この本物の沙羅双樹は寒さに極めて弱いため、温暖な温室などを除き、日本の自然環境で冬を越して屋外育生することは不可能です。
一方、私たちが日本国内で目にする沙羅の花の正体は、日本や朝鮮半島に自生するツバキ科の落葉高木「ナツツバキ(夏椿)」です。では、なぜナツツバキが沙羅の花と呼ばれるようになったのでしょうか。
仏教が日本へ伝来した際、経典に記された沙羅双樹の存在を知った古代の僧侶たちは、実物の沙羅双樹を見たことがありませんでした。そこで、初夏の梅雨時に清らかな白い花を咲かせ、夕暮れには花首ごとポトリと散り落ちるナツツバキの潔い姿に仏教の無常観を重ね合わせ、「これぞ経典に説かれる沙羅双樹である」と見立てて寺院の境内に植えたとされています。この風雅な見立てが定着し、現在でもナツツバキが「沙羅の木」「沙羅の花」という通称で広く愛されています。