クリスタルキングの現在|大都会から泥沼裁判、2人が辿った光と影

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ネット上やSNSでは今なお「ハイトーンを酷使しすぎて喉を潰した」「不摂生が原因で歌えなくなった」といった根拠のない憶測が散見されます。しかし、これらの言説は明白な誤解です。田中昌之がかつての突き抜けるようなハイトーンを失った直接の引き金は、1989年に起きた不慮の打球直撃事故でした。

当時、趣味として参加していた草野球の試合中、バックホームされた硬球(あるいは鋭い打球)が田中の喉仏を直撃。喉頭破砕という、シンガーにとって致命的な重傷を負いました。医師からは「二度と元の声では歌えない」「会話ができるようになるだけでも奇跡」と宣告されるほどの絶望的な事態でした。

事故直後は日常会話の息すら漏れる極限状態に追い込まれながらも、田中は地道で壮絶なリハビリテーションを敢行。かつての3オクターブを超えるハイトーンをそのまま再現することは構造的に不可能となりながらも、喉の共鳴腔や呼吸法を根底から見直し、渋みとブルースフィーリングを帯びた「新たなハイトーン」を再構築していったのです。1998年の『ウルトラマンガイア』オープニング曲などで見せた迫力のボーカルは、過酷な絶望を乗り越えたプロフェッショナルとしての不屈の証明でした。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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