配偶者とは誰のこと?事実婚との違いや扶養控除・相続の壁を徹底解説

配偶者とは誰のこと?事実婚との違いや扶養控除・相続の壁を徹底解説とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。

ネット上で流布されている「配偶者」にまつわる情報のなかには、危険な誤解が少なくありません。代表的な3つの誤謬を是正します。

誤解1:「住民票に『未届の妻』と書いてあれば、配偶者控除を受けられる」

これは完全な誤りです。住民基本台帳法における記載と、所得税法・地方税法における配偶者の定義は別物です。税法上の配偶者控除は、民法第739条に規定する婚姻の届出を行った者に限定されており、住民票の記載をもって税控除が認められる余地はありません。

誤解2:「事実婚であれば、別れるときに財産分与を請求できない」

「籍を入れていないから、別れるときも手切れ金なしで綺麗に清算できる」と考えるのは誤りです。裁判実務において、内縁関係が不当に破棄された場合や合意解除された場合、民法の離婚に関する規定が準用されます。つまり、共同生活期間中に築いた共有財産については、法律婚と同様に「財産分与請求権」が発生し、不貞行為等があれば慰謝料請求も認められます。

誤解3:「同性パートナーシップ宣誓をしていれば、国の配偶者控除が使える」

地方自治体によるパートナーシップ宣誓制度が全国の自治体で普及していますが、これはあくまで各自治体の行政サービスや民間サービス(家族向け公営住宅への入居、病院での面会権など)を補完するものであり、国の法律を上書きするものではありません。2026年時点の現行法において、税法上の配偶者控除や民法上の法定相続権が同性パートナーに自動付与されることはありません。

【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準

家族社会学の知見を踏まえると、近代日本における「配偶者」という概念は、昭和期の「家制度と性別役割分業を前提とした生活保障」から、令和の「個人のキャリアと自立を前提とした対等なパートナーシップ」へと急速に移行しつつあります。法制度はその過渡期にあり、いまだ昭和的な「戸籍による囲い込み」を基盤に設計されているのが税や相続の実態です。

この歪んだ構造のなかで、それぞれの婚姻形態に適している人の判断基準を提示します。

法律婚(戸籍上の配偶者)が向いている人

  • 税金や相続の優遇をフル活用したい人:年間最大38万円の配偶者(特別)控除や、将来の相続税1億6,000万円非課税枠、手厚い法定相続分をノーコストで享受したい世帯。
  • 契約や公的手続きの煩雑さを避けたい人:子どもが生まれた際の共同親権の行使、住宅ローンの連帯債務、入院時の同意など、社会の標準インフラにそのまま乗りたいカップル。

事実婚(内縁関係)を選択する際に自衛が必須な人

  • 改姓による不利益・自己喪失を拒む人:キャリア上の実績やアイデンティティの維持を最優先とし、夫婦別姓を堅持したいカップル。
  • 【必須条件】自発的な法的防衛策を講じられる人:公正証書による「事実婚契約書」「遺言書」の作成、生命保険の受取人変更、住民票の未届登録など、法律婚なら自動で付与される権利を「自らの手で契約化して勝ち取る」覚悟とリテラシーを持てる人のみにおすすめできます。何の手当てもしない事実婚は、経済的・法的な丸腰状態に他なりません。
中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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