夢遊病が怖い理由とは?大人の奇行原因と睡眠外来が教える事故防止策
夢遊病が怖い理由とは?大人の奇行原因と睡眠外来が教える事故防止策の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
夢遊病に関して世間に最も広く知れ渡っている言説の一つに、「夢遊病で歩いている人を絶対に起こしてはいけない」という警告があります。一部のオカルト掲示板や都市伝説では「無理に起こすとショック死する」「魂が抜け落ちて廃人になる」といった非科学的な言説が語られることがありますが、これらは明白な医学的デマです。しかし、ショック死という迷信を削ぎ落としたとしても、夢遊病 起こしてはいけない理由には極めて合理的かつ切実な医学的根拠が存在します。
患者を強引に揺さぶったり、大声で怒鳴って覚醒させようとしたりした際に生じる最大のリスクは、覚醒時錯乱(コンフュージョナル・アロウザル)の誘発です。深い眠りに沈んでいた大脳皮質が外力によって突然強制覚醒させられると、患者は自分が今どこにいて、なぜ目の前の人物に押さえつけられているのかを一切認識できません。脳内は極度の混乱と激しい恐怖に支配されます。
このパニック状態において、人間は防衛本能として激しい抵抗や暴力を発動させます。特に成人男性の場合、悪夢の延長線上で「見知らぬ敵に襲われた」と錯覚し、良かれと思って起こそうとした家族に対して全力で殴打したり、突き飛ばしたりする二次被害が頻発しています。結果として、起こそうとした家族が大怪我を負うだけでなく、覚醒した本人も強い自責の念に苦しむという悲劇を生むことになります。
夜間に歩き回る本人を発見した際の正しい対応は、物理的な刺激を最小限に抑えることです。大声を出さず、照明を急に点灯させず、低く落ち着いたトーンで「大丈夫だよ、ベッドに戻ろうね」と短く語りかけます。そして、進行方向の障害物を静かに除きながら、肩や背中に優しく手を添えてベッドのある方向へとゆっくり進路を誘導するのが鉄則です。決して力ずくで押さえつけてはなりません。