童貞をめぐる男たちの本音と偏見|社会学データが暴く現代の実態
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この歪な構造を鮮やかに解明したのが、社会学およびジェンダー研究を牽引する研究者・渋谷知美の主著『童貞の近代』である。同書は、近代から現代に至る言説空間を丹念に掘り起こし、「童貞」がいかにして商業主義やメディアの都合によって捏造され、消費されてきたかを論証した。
戦後の高度経済成長期からバブル期にかけて、メディア・出版産業は青年向け雑誌やコミックを通じて「童貞=ダサい、脱出すべき恥」という強迫観念を過剰に煽り立てた。性体験をトロフィー化することでファッションやデートスポット、情報誌を売り捌く消費社会の欲望が、男性たちに「早く捨てねばならない重荷」を背負わせたのだ。社会学的な視点に立てば、男性たちの劣等感は彼ら個人の資質ではなく、メディアが仕掛けたマーケティングの産物であったことがよくわかる。