カフェインレスコーヒーに思わぬ罠?体に悪い噂と発がん性の真相

カフェインレスコーヒーに思わぬ罠?体に悪い噂と発がん性の真相について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をお届けします。

ネット検索で「カフェインレスコーヒー 体に悪い」「発がん性」という不穏な関連キーワードを目にして不安を覚えた方は少なくないはずです。この噂の発端を調査すると、単なるデマではなく、かつて海外で主流だった脱カフェイン製法の歴史的背景に行き着きます。

コーヒー豆からカフェインを除去するプロセスには、大きく分けて3つの技術が存在します。

最も懸念されているのが、生豆に直接化学薬品を接触させる「有機溶媒抽出法」です。ここで溶媒として広く使用されてきたのが「ジクロロメタン(塩化メチレン)」という有機化合物です。ジクロロメタンは国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価において「グループ2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)」に分類されている化学物質であり、これが「デカフェ=発がん性物質が残留している」という恐怖の震源地となっています。

米国の規制当局(FDA)においても、微量の残留限度(10ppm以下)を定めた上で使用を認めているものの、近年の消費者団体による使用禁止運動が激化するなど、海外では現在進行形で議論が続いています。

しかし、日本国内で正規に流通・販売されているカフェインレスコーヒーに関して言えば、この発がんリスクは実質的に杞憂です。日本の食品衛生法では、食品加工時におけるジクロロメタンの使用が厳しく規制されており、海外で有機溶媒抽出された生豆は原則として国内輸入が認められていません。

現在、日本市場に並ぶ正規流通品のほぼ100%は、以下の安全な2大製法のいずれかを採用しています。

ひとつは、スイスウォータープロセスに代表される「水抽出法」です。水に生豆を浸して成分を移行させ、特殊な活性炭フィルターを通してカフェインのみを吸着・除去する技術で、化学薬品を一切使用しません。

もうひとつは、現在の先端技術である「超臨界二酸化炭素抽出法」です。気体と液体の中間状態にある高圧の二酸化炭素を生豆に通し、カフェイン分子のみを選択的に抽出します。二酸化炭素は常圧に戻せば瞬時に気化して完全に消失するため、豆に有害な物質が残留する余地がありません。

したがって、「抽出薬品による発がん性」という点においては、日本国内で正規に焙煎・販売されている製品を選ぶ限り、恐怖を抱く科学的根拠はありません。しかし、問題はここからです。化学薬品のリスクがクリアされても、「コーヒーという食品そのものが持つ身体への負荷」は依然として残り続けているからです。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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