九字を切ってはいけない理由とは?素人の危険性と正しい作法の真相
九字を切ってはいけない理由とは?素人の危険性と正しい作法の真相の具体的な内容に迫る! 専門的な視点で紐解きます。
現在知られる九字のルーツは、4世紀前半の中国・東晋時代に葛洪が著した道教の古典『抱朴子(ほうぼくし)』登渉篇に記された「臨兵闘者皆陣列前行(りんぴょうとうしゃかいじんれつぜんぎょう)」に遡ります。山林に分け入る道士が、魔物や猛獣、疫病の害を避けるために唱えた旅の安全祈願文でした。
この呪句が奈良・平安時代に日本へ伝来すると、天台宗や真言宗の密教、そして山岳信仰と結びついた修験道の中で独自の発達を遂げます。やがて句尾が「皆陣列在前」へと変化し、それぞれの文字に特定の神仏や印契が配当されるようになりました。
「臨兵闘者皆陣列在前 意味」を紐解くと、各字には以下のような祈念が込められています。
・臨(りん):不動明王の加護を仰ぎ、心身を不動の境地に置く。
・兵(ぴょう):降三世明王を呼び起こし、内に潜む欲望や邪気を打ち払う。
・闘(とう):軍荼利明王の慈悲により、あらゆる障壁や困難を粉砕する。
・者(しゃ):大威徳明王の威厳を借り、悪縁や災厄を退散させる。
・皆(かい):金剛夜叉明王の清浄な智慧で、自己と環境を浄化する。
・陣(じん):諸仏諸菩薩の慈悲の結界に身を包み、完全な防護を得る。
・列(れつ):智拳印を結び、大日如来の光明と一体化する。
・在(ざい):日天・月天の照覧を受け、万物と調和する。
・前(ぜん):摩利支天の隠形威力を得て、一切の災禍から身を隠す。
武士や忍びが戦場で重用したのも、死の恐怖を克服し、精神を極限まで集中させるための儀法だったからです。単に「お化けを退散させる呪文」ではなく、神仏と自己を一体化させる過酷な精神統一体現法であった事実を理解しなければなりません。