嫌な仕事の押し付けはパワハラ?違法性の判断基準と身を守る完全防衛策
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ネット上のQ&Aサイトなどで頻繁に見られる最大の誤解が、「雇用契約を結んでいる以上、上司からの業務命令はすべて拒否できない」「断れば懲戒解雇になる」という極端な言説です。これは法的に明確な誤りです。
労働契約法第3条5項には「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」と明記されています。過去の重要判例(電通事件や東亜ペイント事件など)においても、使用者の業務命令権は無制限ではなく、業務上の必要性が著しく乏しい場合や、労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合は「権利の濫用」として無効と判示されています。
「我慢して耐え抜けばいつか評価される」という精神論も危険な落とし穴です。不条理な業務量を引き受け続けた結果、心身をすり減らして適応障害や大うつ病を患っても、組織が自動的に守ってくれるわけではありません。厚生労働省のパワハラうつ病 労災認定基準(心理的負荷による精神障害の認定基準)では、「達成困難なノルマが課された」「過度な長時間労働が継続した」「嫌がらせや過大な要求が執拗に行われた」といった項目が『強』と判定されれば労災として認定されます。しかし、一度壊れてしまったメンタルヘルスの回復には数カ月から数年の歳月を要します。我慢料として受け取る給与の代償としては、あまりにも大きすぎるリスクです。