チーマーとは何だったのか?90年代渋谷の熱狂と現在への系譜

チーマーとは何だったのか?90年代渋谷の熱狂と現在への系譜についての真相をお届けします。

チーマー文化を語る上で、「渋カジ(渋谷カジュアル)」の流行を切り離すことはできません。1980年代末、雑誌『ポパイ』や『ホットドッグ・プレス』がこぞって特集を組んだこのスタイルは、日本のメンズファッション史上、初めて若者のストリート現場から自然発生した巨大なトレンドでした。

渋カジの基本原則は「本物のアメリカ製アイテムを品よく着崩す」ことにありました。その変遷は大きく3つのフェーズに分かれます。

第一期は、紺のブレザーにラルフローレンのボタンダウンシャツ、リーバイスの「501」を合わせた「トラッド・プレッピースタイル」です。名門校のアイビールックをベースにした清潔感のある着こなしが渋谷の定番でした。

第二期に入ると、エンジニアブーツやウエスタンブーツ、オルテガのチマヨベストを合わせた「キレカジ(綺麗めカジュアル)」や「アメカジ」が主流となります。トッド・ラングレンの音楽が流れる渋谷の路地で、レイバンのウェイファーラーをかけ、原宿の「ゴローズ」のシルバーアクセサリーを身につけることがステータスとされました。

そして第三期、チーマーの武闘派化に伴い登場したのが「ハードコア・バイカースタイル」です。バンソン(VANSON)やショット(Schott)の重厚なレザージャケットを羽織り、レッドウィングのエンジニアブーツで地面を踏み鳴らすスタイルは、街における自らの強さを誇示するための「現代の鎧」としての役割を帯びていきました。

現在の一流デザイナーやファッションディレクターの中にも、この渋カジの洗練と熱気の中で審美眼を磨いた人物が少なくありません。暴力性と紙一重の緊張感の中で育まれた独自のストリート美学は、2026年代の現在においても日本のユースカルチャーの原点として高く評価されています。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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