歌姫と稀代の黒幕が起こした革命、いま明かされる愛と狂騒の全軌跡

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1990年代半ば、東京の夜はまだバブルの残り香を濃厚に漂わせていた。六本木にそびえ立つ巨大ディスコ「ヴェルファーレ」のVIPルーム。そこで当時、新興レーベルだったエイベックス株式会社の専務として辣腕を振るっていた松浦勝人と、福岡から上京し女優としての将来に行き詰まっていた無名の少女、浜崎あゆみが出会う。

ただの少女に過ぎなかった彼女の瞳の奥に、誰にも飼いならせない孤独と表現者としての凄まじい業(ごう)を見出したのは、音楽プロデューサーとしての松浦の直感だった。松浦は周囲の反対を押し切り、単身ニューヨークへと彼女を留学させ、徹底的なボイストレーニングと自己表現の訓練を課す。「自分の言葉で歌詞を書け」。松浦が与えたその過酷な宿題こそが、のちに日本中を熱狂させる唯一無二の歌姫を産み落とす起爆剤となった。

1998年、デビューアルバム『A Song for ××』のリリースによって、J-POPの地図は音を立てて書き換えられた。自らの絶望や痛みを一切の装飾なく吐露したリリックは、同世代の若者たちの胸を抉るように突き刺さる。傷だらけの魂をビジネスに変える、危険な航海が幕を開けた。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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