84画の幻の漢字「たいと」は実在する?名字の真相とPc入力法を徹底追跡
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「雲3つと龍3つの漢字を持つ人物が、昭和の日本に実在していた」という言説は、一体どこから生まれたのでしょうか。事の発端は、1960年代初頭の高度経済成長期に遡ります。
当時、大手の証券会社や信託銀行、生命保険会社の名簿整理に携わっていた実務担当者の間で、「顧客名簿や届出書類の中に、とてつもない画数の名字を持つ人物がいる」と話題になり、業界内の社内報や私家雑誌を通じて言語学者・辞書編纂者のもとへと情報が持ち込まれました。
東洋学の最高権威である諸橋轍次博士が編纂した『大漢和辞典』は、全13巻で約5万字を網羅する空前絶後の字典ですが、昭和末期から平成初期にかけて刊行された『補巻』の改訂作業において、編纂室は各地から寄せられた「実在の証拠とされる名刺や書類コピー」を精査。その結果、ある証券会社の株主控えとされる一次資料の存在が認められ、補巻の巻末に正式に収載されるに至りました。
しかし、現代の調査報道および姓名研究の第一人者たちによる追加取材によって、不可思議な現実が浮き彫りになります。法務局の公式戸籍・住民基本台帳の悉皆調査や、全国の電話帳データベース検証(数千万件規模)を行っても、「たいと」という文字を名字として法的に保持している現存家系は1軒たりとも確認されなかったのです。
取材関係者の間では、預金口座や証券口座の開設基準が現代のように厳しくなかった昭和30〜40年代、個人の変名や符丁、あるいは縁起担ぎの自作印鑑をもとに作られた架空の口座名義が、いつしか「実在する旧家・名家の希少名字」として都市伝説化したという見方が極めて濃厚とされています。