手足の麻痺や痙縮なぜ?錐体路障害の兆候と原因・鑑別ポイント徹底解剖
手足の麻痺や痙縮なぜ?錐体路障害の兆候と原因・鑑別ポイント徹底解剖に関する知りたいポイントを初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。
インターネット上や民間の健康情報において、錐体路障害に関して最も蔓延している危険な誤解が「手足が麻痺して力が入らないのだから、がむしゃらに筋トレをして筋肉をつければ治る」という言説です。これは医学的に極めて危険なアプローチと言わざるを得ません。
前述の通り、錐体路障害の本質は筋肉自体の萎縮や脆弱化ではなく、脳からの抑制が外れたことによる筋緊張亢進(痙縮)です。この状態の患者が力任せにダンベルを持ち上げたり、負荷の強いトレーニングマシンを使ったりすると、共同運動パターン(肘を曲げると手首や手指まで不随意に強く握り込んでしまう異常な運動連動)が強化され、かえって痙縮が悪化して関節拘縮を進行させる事態に陥ります。
臨床的に必要なのは、過剰に緊張して固まっている筋肉を適切に緩め、逆に機能が抑制されている拮抗筋を選択的に再学習させるアプローチです。現在では、異常に緊張している筋肉の局所にボツリヌス菌毒素を微量注射して筋緊張を一時的に緩和する「ボツリヌス療法」を併用しながら、緩んだ隙に適切な関節可動域訓練や協調運動訓練を行うコンビネーション治療が標準化されています。「力を入れる努力」よりも「不要な緊張を抜き、意図した軌道で動かす学習」こそが、脳の再プログラミングには不可欠なのです。