手足の麻痺や痙縮なぜ?錐体路障害の兆候と原因・鑑別ポイント徹底解剖
手足の麻痺や痙縮なぜ?錐体路障害の兆候と原因・鑑別ポイント徹底解剖とはどのようなものなのか? 詳しい意味を整理してお届けします。
錐体路という一本の配線トラブルであっても、その障害が発生する「部位」と「進行速度」によって、背景にある原因疾患の輪郭は大きく異なります。
最も頻度が高いのは、血管障害による突発的なダメージです。脳梗塞 運動麻痺は、内包後脚や大脳皮質運動野の血流が途絶することで急激に完成します。片側の手足が突如として脱力し、時間の経過とともに弛緩性麻痺から痙性麻痺へと移行しながら、拘縮や腱反射亢進を固定化させていきます。発症後4.5時間以内のt-PA静脈注射やカテーテルによる血栓回収療法が予後を分けるため、まさに1分1秒を争う急性期疾患の代表格です。
一方、中高年以降に緩徐に進行し、見過ごされやすいのが頸椎症性脊髄症 錐体路徴候です。加齢に伴う椎間板の変性や骨棘(骨のトゲ)、後縦靭帯の肥厚によって、首の脊髄が慢性的に圧迫される疾患です。「箸が持ちにくい」「字が乱れる」といった手の巧緻運動障害(10秒テスト等で評価)から始まり、徐々に下肢へと影響が波及。「平地でも足がもつれる」「階段を下りるのが異常に怖い」といった痙性歩行へと悪化していきます。脳疾患と誤解されてMRI検査が遅れるケースも散見されます。
そして、神経難病の中で最も過酷な経過をたどるのが筋萎縮性側索硬化症 ALSです。この病の病理学的特異性は、脳からの「上位運動ニューロン」と、脊髄から筋肉へ伸びる「下位運動ニューロン」の双方が同時に変性・死滅していく点にあります。通常、筋肉が著しく痩せ細れば腱反射は消失するものですが、ALSの初期段階では「筋肉がピクピクと痙攣(線維束性収縮)して萎縮しているにもかかわらず、膝の腱反射が異常に跳ね上がる」という、上位と下位の障害サインがモザイク状に同居する奇妙な現象が観察されます。