Back Number『瞬き』歌詞の真意|冒頭が示す幸せの定義と感涙の制作秘話

Back Number『瞬き』歌詞の真意|冒頭が示す幸せの定義と感涙の制作秘話にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

楽曲の扉を開くのは、一度聴いたら脳裏から離れない印象的なフレーズです。

「幸せとは 星が降る夜と眩しい朝が 繰り返すようなものじゃなく 大切な人に降りかかった雨に傘を差せる事だ」

ポップミュージックにおいて「幸せ」というテーマは、星空の美しさや眩しい朝日のきらめきといった、ポジティブで輝かしい情景とともに描かれるケースがほとんどでした。しかし清水依与吏は、それらを「幸せそのものではない」と鮮やかに否定することから歌を始めます。ロマンチックな非日常の連続ではなく、日常の暗雲や試練の中にこそ愛の正体があるという宣告は、当時のJ-POPシーンに静かな衝撃を与えました。

ここで注目すべきは、「雨を止める」ではなく「雨に傘を差せる事」という動詞の選択です。人生において、病気や喪失、理不尽なアクシデントといった「雨」そのものを他者が完全に消し去ることは不可能です。映画のモデルとなった中原尚志さん・麻衣さん夫妻に起きた「抗NMDA受容体脳炎」による婚約者の長い昏睡という悲劇も、誰にも止めることのできない過酷な豪雨でした。

もし歌詞が「雨を止めてあげる」であったなら、それは単なる万能感や自己満足のファンタジーに堕していたはずです。自分にできるのは、相手の頭上に冷たい雨粒が直接打ち付けないよう、ただ静かに傘を掲げ続けることだけである――。無力感を受け入れた上で差し出されるこの献身の姿勢こそが、リスナーの胸を締め付け、涙を誘う決定的な要因となっています。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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