甲状腺機能亢進症の原因とは?動悸や体重減少の正体とバセドウ病の真実
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甲状腺ホルモンが過剰になる疾患の中で、日本国内において全体の80%以上を占める最大のバセドウ病の原因は、自己免疫システムの狂いにあります。本来であれば細菌やウイルスなどの外敵を攻撃・排除すべき免疫細胞が、自分自身の甲状腺細胞を「異物」と勘違いし、誤った攻撃ミサイルを作り出してしまう現象です。
その元凶となるのが、TSHレセプター抗体(TRAb)と呼ばれる異常なタンパク質です。通常、甲状腺ホルモンの分泌量は脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が「ホルモンを作れ」と命令を出し、分泌が十分になると命令をストップするという精密なネガティブ・フィードバック機構でコントロールされています。ところが、TRAbが甲状腺細胞表面にある受容体(TSHレセプター)に結合すると、脳からの命令を無視してスイッチを押しっぱなしにしてしまい、甲状腺ホルモンが無制限に血液中へ垂れ流され続けることになります。
なぜこのような異常抗体が作られてしまうのか。根本には遺伝的素因が存在しますが、遺伝だけで100%発症するわけではありません。日本甲状腺学会の疫学調査や臨床現場のデータが示す通り、発症の強力なトリガーとなるのがストレスの誘因です。過労、人間関係の軋轢、睡眠不足、近親者との離別といった強い精神的・身体的負荷が自律神経や免疫系のバランスを急激に乱し、潜在していた自己抗体の産生を一気に加速させることが近年の神経内分泌学的研究でも裏付けられています。