与那国島海底遺跡は人工か自然か?最新調査と現場から迫る謎の真相
与那国島海底遺跡は人工か自然か?最新調査と現場から迫る謎の真相についての疑問解決ガイドをご紹介します。
「与那国島海底遺跡は人工物か自然の造形か」という問いは、四半世紀以上にわたり専門家の間でも激論が交わされてきた最大のミステリーです。この謎を読み解く鍵は、地質学的な証拠と人為的痕跡の解釈の違いにあります。
人工物説を長年牽引してきたのが、琉球大学名誉教授の木村政昭氏を中心とする研究グループです。木村氏らは潜水調査を重ね、以下のような特徴を根拠に「人間が手を加えた古代の城郭(グスク)や祭祀施設である」と主張してきました。
- 規則正しい2段のステップが続く「メインテラス」や「階段」
- 幅約1メートルの通路を挟んで垂直にそびえ立つ「二枚岩(城門)」
- 排水溝のように岩盤を一直線に削り取ったとされる溝構造
- 上面が平坦に加工された「拝所(ウブガー)」や巨大な亀の姿に似た「カメのモニュメント」
- 岩肌に残されたとされるクサビ状の工具痕や文字のような線刻
さらに木村氏は、氷河期の海水面低下によってこの場所が陸地だった約1万年前、あるいはその後の地殻変動で海中に没した約2000〜3000年前の遺跡であるとし、一部の古代史ファンの間では太平洋に存在したとされるムー大陸伝説の生き残りではないかというロマンあふれる仮説とともに語り継がれてきました。
しかし、地質学会および考古学会の大半が下している評価は冷徹です。米ボストン大学のロバート・ショック教授をはじめとする国内外の地質学者による最新調査結果や岩石分析では、以下の地質学的必然性が突き付けられています。
この巨石群を構成する岩石は、およそ2000万年前に堆積した「八重山層群」と呼ばれる砂岩と泥岩の互層です。この砂岩層はもともと、地殻変動の応力を受けると縦横に直角に割れ目が入る「方状節理(ほうじょうせつり)」という性質を強く持っています。陸上にある与那国島の「サンニヌ台」と呼ばれる景勝地を見れば一目瞭然で、海中と全く同一の直角なテラスや直線的な亀裂が、自然の作用だけで整然と形成されています。
さらに、かつて海面付近にあった時代に強い波浪と潮流によって脆い泥岩層が洗い流され、硬い砂岩層がテーブル状に残された「差別侵食」が重なった結果、あたかも人間が階段や通路を切り開いたかのような景観が生まれたという見解が、現在の科学的コンセンサスとなっています。