田端義夫『かえり船』誕生秘話と歌詞の意味|引き揚げ者の涙と昭和の原点
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田端義夫が国民的人気歌手として生涯愛された背景には、その唯一無二のギター演奏スタイルとステージパフォーマンスがあります。アメリカ製のナショナル製エレキギター(ナショナル・レゾフォニックの流れを汲むソリッドボディ)を高めの位置に水平近く構え、右手を小刻みに動かしながらつま弾く姿は「バタヤンスタイル」として一世を風靡しました。
トレードマークとなった「オース!」という豪快な挨拶とともに、庶民の目線に立った親しみやすいキャラクターを展開する一方で、ひとたびマイクに向かうと、低音から高音へと滑らかに移行する哀切なビブラートを響かせました。自著や生前の回想インタビューで語られている通り、田端自身が貧困の中で育ち、下積みの苦渋を味わい尽くした経験が、声のひと節ひと節に説得力を与えていたのです。
『大利根月夜』や『島育ち』『十九の春』と並び、この『かえり船』は田端義夫の歌手人生における最大の看板曲となり、晩年に至るまでコンサートのクライマックスで歌われ続けました。