トレンデレンブルグ徴候の真相|骨盤沈下の原因とデュシェンヌ歩行の違い

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なぜ支えている側の筋肉に問題があるにもかかわらず、反対側の骨盤が落ちてしまうのか。その疑問の答えは、股関節のバイオメカニクス(生体力学)に隠されています。

骨盤を水平に保持する主動筋は、大殿筋の深層に位置する中殿筋(特に前部〜中部線維)や小殿筋などの股関節外転筋群です。人間の骨盤と大腿骨の関係は、股関節の回旋中心を支点とし、大腿骨大転子に停止する中殿筋を力点、身体全体の重心位置を作用点とする「第1種てこ(シーソーの構造)」として機能しています。

ここで決定的な問題となるのが、支点から作用点(身体重心)までの距離と、支点から力点(大転子)までの距離の圧倒的な非対称性です。解剖学的に中殿筋のレバーアーム(モーメントアーム)は身体重心までの距離の約3分の1しかありません。シーソーで短い側に座る者が重い側と釣り合うためには、莫大な力が必要です。力学計算上、片脚立ちの状態で骨盤を水平に保持するためには、中殿筋に体重の約3倍(3W)に匹敵する強力な張力が求められます。

この過酷な力学的要求に対し、以下の病態が引き金となって骨盤傾斜 メカニズムが作動し、骨盤沈下が生じます。

第一に、加齢や関節変形に伴う変形性股関節症 症状の進行です。臼蓋形成不全や関節裂隙の狭小化によって股関節のアライメントが崩れると、筋の付着部間の距離が縮まり、十分な筋張力を発揮できなくなります。第二に、神経障害による中殿筋 筋力低下です。椎間板ヘルニアや大腿骨頭の手術侵襲、あるいは外傷によって上殿神経麻痺が生じると、中殿筋への神経伝達が遮断され、筋力そのものが著しく脱落します。第三に、小児期からの先天性股関節脱臼に伴う関節構造の弛緩や支点の破綻です。いずれのケースでも、体重の3倍という負荷を支えきれなくなった瞬間、骨盤は重力に従って健側へと滑落します。

吉田 誠

吉田 誠

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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