土俵の華「大銀杏」を結える条件とは?関取の誇りと床山の神技
土俵の華「大銀杏」を結える条件とは?関取の誇りと床山の神技に関するポイントを詳しくまとめました。詳細な解説をご確認ください。
相撲部屋の門を叩いた力士が、最初から大銀杏を結えるわけではない。そこには冷徹なまでの階級社会の掟が存在する。
大銀杏を結うことが許されるのは、十両以上の「関取」のみだ。幕下以下の力士(力士養成員)は、普段の稽古はもちろん、本場所の土俵であっても先を切り揃えただけの簡素な「ちょん髷」で戦わなければならない。十両へ昇進して初めて、晴れて自らの頭上に大銀杏を戴く権利を手にする。給与が出るのも、付け人がつくのも、そして大銀杏を結えるのも関取から。頭上の髷の形は、過酷な勝負の世界を勝ち抜いた者だけが得られる「栄光のライセンス」なのだ。
ただし、例外が二つだけある。一つは十両昇進前の力士が土俵祭りの祭主を務める場合や初切(しょっきり)などの巡業行事に出る際、もう一つは関取経験のない力士が引退して行う断髪式だ。土俵人生の最期、髷に鋏を入れるその瞬間にだけ、幕下以下の力士にも大銀杏が結われる。一生に一度、数十分間だけ許されるその姿には、土俵に青春を捧げた男への温かい敬意が込められている。